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「 日々是 月花蜜 」展 後記

 

 

 

 

 

                                                                  
この秋。

月花蜜と茶器の展示会「 日々是 月花蜜 」展を企画・開催しました。
月花蜜とは、夕顔がディレクションを行い、
静岡で長年茶業を営む「 茶屋すずわ 」が茶葉の選定から合組、生産を行う日本茶です。

 

会場の nice things. STORYさんは、

雑誌 nice things.さんが運営されるショップ ・ギャラリー。
今年の冬に、

夕顔が料理を通して大切にしている軸を込めた「 五味五感 」展でもご一緒させていただきました。

人、もの、場所を丁寧に掬い、発信し続けるnice things.さん。
夕顔の仕事も誌面で複数回に渡りご紹介下さいました。
初の試みである「 茶葉を軸とした展示会 」をともに形作ってゆく
心強い存在であり、場でした。
 

              

会期中には、月花蜜とともに、

私が日々愛用している2人の作家

河合竜彦さん / 谷井直人さんにご参加いただき、

茶器(急須・宝瓶・茶海・茶杯)の展示販売を行い
会期中には、作家の茶器を用いた茶会を開催しました。
月花蜜によせた茶菓子を夕顔がこしらえ、
茶を淹れる手元から「 お茶のある時間の愉しみ・豊かさ 」を
茶会という場、空間・時間へ広げるように組んでゆきました。

                           

 

今展を担当して下さった nice things. 渡邉さんの感想がとても嬉しい。
(渡邉さんは茶会へもご参加いただき、
月花蜜を通して伝えていきたい事を体感とともに汲んで下さったのがまたうれしい)

 

料理家である夕顔と、茶屋すずわが、

「 香る 」日本茶・月花蜜 をつくることになった経緯を綴ります。


私にとって「 季節 」と「 香り 」は、いつでも特別なもの。
料理をつくるとき、季節の香りを情景へ繋ぎ、料理として器や場に表しています。

季節と料理を繋ぐ大切な要素=香り


なかでも「 茶 」は香りの最たるものと感じます。
立ち昇る湯気に、茶を注ぐ音に水色。
漂う香りには、時を区切り気持ちを整える作用がある。

五感を静かな鮮やかさで刺激してくれる茶。
 

料理を組むように、
描く情景を、お茶で。かつ日本茶で表せたら...

という長年の願いを叶えて下さったのが、

「 茶屋すずわ 」の若き6代目、渥美慶祐さんでした。

(老舗のお茶屋さんであることから、お爺さまをイメージされる方が多いのですが、

渥美さんは、30代後半のお茶愛と知識の深い、熱意に溢れた方。この場を借りて...)


月花蜜へ描いた情景は、
「 月夜の静寂に香る花。花からは清く甘い蜜がしたたる 」
というもの。

 

あわせて、
・煎を重ね変化の愉しめること
・自然で豊かな花蜜香
・中国茶の香る要素を日本茶らしさも備え、日本茶で表したいということ

そんな難題に見事応えてくださった渥美さん。

渥美さんが月花蜜へよせた言葉を下に記します
...
【 月花蜜 つきはなみつ 】
香りという要素を大切にしている料理家夕顔
旨味を大切にする茶屋すずわ
昨年度より2人でお茶を作り始めました
高い香りと旨味に見合う茶を仕上げるため
本来の緑茶品種には含まれない強い花香を持つ在来実生種の茶と、

特別な製法で 葉が白く旨味成分が通常の煎茶の何倍も含まれる白葉茶を独自の比率で合組し、
夕顔さんと共に試行錯誤して作った特別なお茶

黒い茶殻に白く輝く茶葉、
花の蜜のように立ち昇る香り、
口に広がる複雑な旨味、
ぜひ身体中で味わっていただけましたら幸いです
...

 

江戸末期に日本一の茶所・静岡の地で創業し、
170年に渡りこだわりの茶を作り続けるすずわさんだからこそ為せた技。

会期中の週末は静岡からお越しいただき、

会場で月花蜜の試飲を淹れてくださいました。

お茶についての興味深いお話の数々に、

来場者の皆さまが、和やかに時に真剣な表情で楽しんでおられ、

展示会場でそのような時間が流れることを嬉しく感じました。

この日は、参加作家の河合竜彦さんも岐阜県よりお越し下さっていました。

作り手に直接会い その手がつくるものに触れること。

やはり大事なことと思います。

ものやことに、その背景や体温のようなものが宿りゆく時。

 

                

茶を淹れ、味わう豊かさ

日常のなかに少しの特別をつくること。

その時間を重ねることで、

人生はより豊かになり よろこびや秘密を教えてくれるのでしょう。

 

                                                                                                                                

                                                                                                                              
「 一服する 」という言葉もあるように
お茶には「 時の流れ(スイッチのようなもの)」を変え、
気持ちや、場を整える作用があると感じます。
立ち昇る湯気とともに漂う茶香には、どこか思い馳せるような風情がある。
近年では、何かを静かに「 待つ 」という時間が少なくなっていますが、
茶を淹れる行為には、必ず「 待つ 」時間が必要です。
急須の中の茶葉が湯を迎え、葉が開き、風味や色香をたててゆく。
そんなことを想像しながら、茶葉に気持ちをむけ、待つ。
急須から茶海・茶杯に注がれる音や水色を見つめ、香りとともにいよいよ味わう。
清く甘い香、複雑な旨味の月花蜜は、そんな時間がよく似合います。

 


                                                                                                                              

つくりの良い茶器が側にあれば、その時間はより身近なものになる
茶を通して、自分自身や時間の輪郭に向き合うこと。

五感をとぎ澄ますこと。

日常のなかにでも、とびきりの豊かさがあることに気づくこと。

茶を淹れ、味わう時間にはそのような愉しみがあります。
それは、夕顔が料理を通して伝えていきたいことと同じこと。

会期中に行った茶会は、
月花蜜と作家の茶器を通して「 日々是 月花蜜 」展を体感する場でもありました。

 

「 茶会へ参加する前と後では、来場者さんの表情が違う 」

心に残る言葉をいただきました

 

                                                                                                                         

茶会へよせ試作を重ねた茶菓子も、嬉しい声を多くいただきました。
旬の「 無花果 」を用いた甘味。
月花蜜と茶菓子 それぞれが持つ花蜜香。その後味の調和を意識してつくりました。
季節や素材を変えて、これからも長くつくり続けたい菓子が誕生しました。

 

参加作家のおひとり、
河合竜彦さんが、今展によせ製作いただいた茶杯のひとつに、
径を狭め・背を高く「 香り 」を愉しめる仕様をお願いしました。
また、定番でつくられている中国茶用の急須を、

日本茶用の仕様で 新たに形作っていただきました。
日本茶と中国茶の要素をあわせもつ月花蜜に/お茶の新たな愉しみ方に、

喜びを感じる茶器となったように思います。
今回、茶器を連れ帰って下さったお客さまの反応からも実感したこと。
河合さんには、茶を淹れる際に「 盆 」としても使用できる

フラットな大皿もご用意いただきました。
(大皿をフラットに仕上げるには、技術や経験のいることです)
夕顔でも長く愛用しているこの愉しみかた。好評いただき嬉しかったです。
「 見立てること 」も愉しみ・豊かさのひとつですよね。

 


谷井直人さんの宝瓶は、茶を淹れる手元からたのしめる。
それぞれの茶器は陶器の上に銀彩釉が施され、
指先や口元に触れるあたたかさととともに、
茶の水色を映し美しく魅せてくれる。


道具としての要素の高い「 茶器 」。
姿形がよいのはもちろん、機能面にも優れたものであること。

谷井さん・河合さんにご参加いただけたのが、

作品の説得力とともにありがたかったです。

 


月花蜜は、日本茶に新たな愉しみが備わります。
煎を重ね、移りゆく香味と喉に落ちる心地よい日本茶の風味。
香りをたのしむ中国茶のように、
煎を重ねながら、作法に囚われず日本茶の奥深さを味わっていただけたらと願います。
古くより受け継がれる文化に、現代の愉しみ方を添えて。
日本茶の新たなよろこびを「 月花蜜 」を通して伝えてゆけたら幸いに思います。

 


 

生きていると、嬉しいことも辛いことも起こります。

元気の出ない、気持ちが深く沈む時だってある。

 

そんな時も「香り」という要素は 感情に静かに語りかけ、

気持ちを整える作用があると感じます。

「 日々是 月花蜜 」というタイトルは、

禅語の「 日々是好日 」からいただきました。

良い日も 良くない日も、自分次第で好日となる 

良い日も そうでない日も、

月花蜜の香味が あなたのお側にあれますように 

 

 

最後になりましたが、

会場へ足を運んで下さった皆さま。

「 日々是 月花蜜 」展をともに形づくってくださった nice things.STORYさん。

参加作家の河合竜彦さん、谷井直人さん。

そしてそして、茶屋すずわさん へ

初の試みの、最初の一歩。

ともに進めたことへ 感謝をこめて

 

今後も月花蜜を携え「 茶会 」「 食事会 」、

夕顔の新形式「 料理茶会 」と、

さまざまの時間をお届けしてゆきますね。

 

またお会いできることを 心より愉しみに。

 

令和元年  秋の日

夕顔 藤間夕香

 

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撮影:会場風景 kazuma seto(horizont)

         茶会風景 茶屋すずわ / 作品写真(*)河合竜彦

 

※月花蜜は、夕顔では催し日を中心に、

茶屋すずわでは、店舗・オンラインストアにてお求めいただけます

 

 

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