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初夏を掬う、食事会のこと






梅雨の最中に、

梅雨のはじまりへよせて


雨に濡れた緑を見る度

よぎる、あのたっぷりとした水のような日々

自分にとって大きな一歩となった食事会のこと

書きました


..


まだ人がまばらの朝の羽田空港

一人で飛行機に乗るのは はじめてのこと

友人に借りた特大トランクには

普段愛用している調味料(醤油、塩、砂糖、酢 etc..)、

土鍋、フライパンなどの調理道具が所狭しと入っている



6 / はじめギャラリーさんで行われた、

石原稔久さんの個展会期中の食事会「初夏を掬う、食事会」にむけて

はじめての九州、熊本へ



石原さんとは

何度か仕事をご一緒させていただいていて、

創るものも、その人となりも、とても信頼している作家さん

そんな彼からのうれしいお声がけ、断るわけがない


..



石原さんの器に盛った料理は、

手のひらで大切に包まれているようだと感じます

初夏、両の手のひらで瑞々しさを掬うように

石原さんの器が掬う初夏の料理


お野菜、魚は熊本で仕入れ、仕込み、食事会当日を迎える

「初夏を掬う食事会」は、

自分にとってはじめての経験が折り重なっていた


東京でできることは、料理のイメージづくりと

(その時節、予想できる旬野菜で料理構成をたてておき

当日の入荷状況をみながら調整していった)

食事会の段取り準備、タイムスケジュール組み

それらを紙につらつら書いて、

流れや動きのイメージを重ねておく

熊本では、

その時、目にうつり肌で感じたことを思いきり愉しもう!

と決めていた


..


熊本に着いた日は

結構な雨が降っていた

こっちの雨の降りかたとの違いを感じながら、

街の中心にでて、人の流れや食材を見る


午後、はじめギャラリーさんへ

みなさんにあたたかく迎えていただき 少し緊張がほどける

ギャラリーのみなさん、おおらかで明るく 親切で、

懐の深さが滲むよう。うれしい出会い


この日はキッチンを見せていただき、動きと流れのイメージ繋ぎ

そして、待ちわびた時間

石原さんがこの食事会のために

一点一点ご用意くださった器 / 総数 60点

が、ずらりと目の前にならぶ


胸たかなる時間

集中のとき




翌日、

はじめギャラリーさんにご案内いただき

朝から 田崎市場へ仕入れ


食材選びは、器にあわせたサイズ感、形状、色合いを大切にしたかったため

自分の目でひとつひとつ確認しながら

数も揃えられる市場に行けたことは とてもありがたかった

熊本の伝統野菜をはじめ、生き生きと並ぶ初夏たち

赤なす、水前寺菜、トマト、ベビーコーン、甘長唐辛子、

若オクラ、三つ葉、新じゃが芋、夏牛蒡、ズッキーニ、阿蘇のお米 etc..


その姿、味わい、調理法、器

景色のパズルをはめるように繋いでゆく

お魚は、ギャラリーさんにご紹介いただいた 魚勢さんに相談し、

肉厚で鮮度のよい あまくさあじ を手配いただく






はじめギャラリーさんのキッチンは、

広々として設備もしっかり整っていて、

仕込みをしていてとても気持ちよかった


展示会の様子を扉の向こうに感じながら

その人のつくる器のうえを想い、手を動かす

熊本のお野菜は、色香りが濃く 力強く

きらきらとして美しかった


熊本市の水道水源は、地下水でまかなわれていて

「神の水」といわれる、豊かな味わいの水が蛇口から溢れる


鍋に沸いたたっぷりの湯は なめらかに揺れて

お出汁の香りと、漂う蒸気の粒が

艶やかに料理に積もってゆくようだった


..


そしていよいよ、

食事会当日











石原さんの器が、初夏の料理を瑞々しく掬う


準備から数ヶ月

待ち焦がれていた光景


..


「初夏を掬う、食事会 」

お品書き



・完熟トマトの甘酢漬け

よい頃合いに熟れたトマトの溢れる瑞々しさ

月桂樹・クローヴで香りをたてた甘酢に漬け込みました



・初夏野菜の炊き合わせ

かつお出汁でじんわり炊き上げた季節の色香、甘み

赤なす・水前寺菜・ベビーコーン・甘長唐辛子・若オクラ



・鯵のソテー 三つ葉のジェノバソース 番茶粉ふき芋添え

脂の乗ったあまくさあじ

柔らかな滋味に、三つ葉ジェノバソースの清涼感が絡みます

番茶粉ふき芋の香ばしさとともにお楽しみください



・夏牛蒡と獅子唐と胡桃の炊き込みご飯

穏やかに香る夏牛蒡と獅子唐の緑、胡桃のコクをぎゅっと込めて

昆布と干し海老のお出汁で炊いた初夏のご飯です



・蕎麦茶のお吸い物

蕎麦茶と昆布出汁、お醤油をすこし

香りとコクを召し上がれ



・香の物

小梅の味噌漬けと、ズッキーニの塩揉み

青い実り、豊かな歯触りをご飯とともに



お酒は、

熊本の酒蔵・花の香酒造さんの純米大吟醸「花の香 / 桜花」をはじめ、

若葉を想わせる爽やかな芳香の白ワイン、阿蘇高原のブルーベリーが贅沢に香るサワー、

初夏のイメージに重ねて 茉莉花茶などなど あわせました



ホテルの窓からさす、朝の光

一日のはじまりがとても嬉しかった、熊本での時間


あれからちょうどひと月が経つけれど

今も色褪せない、自分にとってたくさんの糧となった日々


考えて 学んで 喜んで

大きな一歩がたくさん

(うれしいご縁も。飛行機のあの体感も。身体に刻む)




お越し下さいましたみなさま、


はじめギャラリーさん、


そして 石原さん へ



本当にありがとうございました

心よりの感謝をこめて



またいつか、必ず再び




..


2015. 7.8   夕顔 / 藤間夕香

撮影 : はじめギャラリー






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